約3日ぶりにゆっくりと眠ることができた。
この肌寒いくらいの陽気が何だか懐かしい。
今日は早速タンカが学べる場所を探そうと思っていたのだけれど、何故か、いざ探そうとすると腰が重くなってしまう。
10時ごろまで宿でうだうだと溜め込んだ日記なんかを書いて過ごしていたが、頭の中に『PROGRESS』という言葉が浮かんで来て仕方ないので、宿を出ることにした。
デリーにいたとき、あっちこっち工事中で(何でもデリーでオリンピックをやるからとか言ってましたが、やめたほうが言いと思います)、工事用フェンスに必ず『PROGRESS』と書かれていたのだ。
いざ探してみると、容易でないことがすぐわかった。町中にいろいろなスクールのチラシが貼ってあるが、殆どはYOGAで、たまにHINDIとかCHIBETTAN COOKINGというのがある位。以前タンカスクールを見た場所にも行ったが既に跡形もなかった。9年は長い。
宿のチベタンや唯一見つけたART系の木彫りアートのスクールに聞いても「知らない」「聞いたことない」ばかり。
町中歩き回っても、それらしい看板もポスターも何も見つからない。
疲れ果てて(忘れていたけど標高が高い。階段をダッシュで上ると5分くらい死にます)、WIFIカフェに入り、ネットを見てみることにした。
ネット上にはカトマンズのスクールのあれやこれやがワーッと出てきた。カトマンは町も大きいし、ツーリストへのインフラもここより整っているのでやっぱりそれなりの需要に対しての供給があるようだ。
ネットの情報も比較的新しく、カトマンに飛べば確実に通えそうな感じだった。
カトマンズに行かなかったのは五反田のタンカスクールの先生にたぶらかされたというのもあるが、実際にはVISAの問題が大きかった。
ネパールVISAは国境で取得可能だが、確か1ヶ月しか取れず、一部情報では1日2ドルのVISA代がかかるというのもあった。
でも今日調べた限りでは国境でも空港でも90DAYSのVISAが取れそうなのだ。
少し迷いを持ちつつ、以前滝を見に上った道のほうまで足を伸ばしてみると、なんと!タンカ屋の看板にLEARNING PAINTING(これ英語間違ってないかな?)の文字が!なんという偶然だろう。
感動して店の前に座っているお兄さんに聞くと、イエス、と言う。
どれくらいの期間がかかるのだろうかと聞くと、大きさにもよるが5日から2週間くらいだ、と言う。ずいぶん短いなあ。
ちょっと疑いたくなり(金八、ごめん)、値段や時間や何やかやと問いただすと、明らかに面倒くさそうな感じになってきた。どうやらこの人、英語があまり得意でないらしい。最終的には
「明日からラサに買出しに行くので2ヵ月後にスタートだ」
と、とんでもないことを言い出したので諦めることにした。
やはり、ダラムサラでタンカは無理なのだろうか。
カトマンズはかなりツーリストに開かれていて気楽にタンカを習える様子がわかる。しかし、ダラムサラはどちらかと言うと有名な馬場崎さんのように本格的な『修行』の場としてのイメージが非常に強い(彼は32年間!ダラムサラでタンカを描いた)。
このまま、見つからなければ行く道は2つにひとつである。
① このまま、このインドでの旅を続ける→本来の旅の意味から外れるし、たぶん後悔しそう。もはやかみさまを描く手でもなんでもない。ただし、ラダックに行くとかいう手はあるかもしれない。
② ひとまずデリーに戻り、カトマンズに飛ぶ→間違いなくスクールには通えるが、インドに来た意味が無い。飛行機代とVISA代は全く無駄になる。しかもカトマンは遠い。
もう決めるしかないのだ。いまや『前進!』と言うのが強迫観念のように頭の中をぐるぐる回っていた。
ご飯を殆ど食べていないので、義務的にチベタンレストランに入りMOMOという餃子に激辛のチリソースをかけて食べた。
ネパールか、ラダックか。何れにせよここ何日間か移動のしっぱなしで寝てない食べてないの状況が続いていてくたびれ果てていたので、どちらにしてもすぐに選ぶのは無理だよ、と思った。
MOMOを食べながら、ふと、レストランの壁に貼ってあるオレンジ色のチラシが目に入った。
「チベタン アーティスト
タンカを学ぶコースのセッティングができます」
・・・な、なにー!!!
MOMOを全速力で食い終わり、走るように地図の場所へ向かった、
灯台下暗しである。そこは私が投宿しているLOLING GUESTHOUSEの上、更に200mくらい上がった先の山道のように細い道を上がった先にあった。
こんなとこ、絶対にここに住んでいる人しか来ない場所だ。
一軒の家に「タンカアーティストここ↑」と、親切にも書いてあったので、扉をたたくと、良く言えば江口洋介風のチベタンが現れた。
「(福山風に)あんちゃん!・・・じゃなくて、私、日本人で、タンカを習いたいんですけどスクールはやってますか?」
と聞くと、笑顔で中に招き入れてくれた。
部屋は4畳半くらいの狭い部屋だった。ベッドの上にはまさに今正に描きかけの尊像のタンカが置かれていた。空の描き方などを見て、一応ハッタリではないと感じた。
チャイを入れてくれて、いろいろな話をした。
彼が言うには、本来は長い時間がかかるが、スクールの場合はとりあえず4~5週間で一通りのアイデアは教えることができるだろう、と言った。金額ははっきり言って予想の倍以上だったが、ここからカトマンに移動するなら、移動費で賄えそうな額だった。
あと、私、英語ヘッタクソですけどいいですか?と、一番気になることを聞いたが、今、話しているんだから大丈夫と、もっともなような答えになっていないようなことでまとめられた。
何より、ダラムサラやインドのことや今までここに来た生徒のことを話していて、なんとなくこの人は信じていいのではないかと思えてきた。以前学んでいた台湾人の生徒の写真をデジカメで見せて、「彼女はかわいい」と言っていたこととか。
とにかく、明日から毎日13時に彼の元に訪れることにした。
彼にしてみてもこの金額は相当な収入のはずである。きっとまじめに教えてくれるだろう。たぶん。
やっと、明日から始まるタンカスクール。しかも自称チベタンアーティストと一対一である。
果たしてこれがどんな結果になるかはわからないけど、チラシを目にしたレストランにはチベットの守り神『パンデン・ラモ』のタンカがかかっていた(パンデン・ラモは、このBLOGのバナーになっている神様です)。これはパンデン・ラモのお導きなのではないか?
なんにせよ前進!!この旅に後退は許されない。自分に常に脅しをかけて今日も前進するのだ!
いい旅になってきましたね…。楽しみです。
投稿情報: キド | 2010/06/21 22:47
昔、ある漫画で「進むも地獄、戻るも地獄。なら、進むべきだ!」という台詞があったっけ。
地獄ではないと思いますが、aoyさんもPROGRESSあるのみのようで
今後がとても楽しみです。
PROGRESS:人には言いやすいけど、いざ、自分となると、、、。
やっぱ、尻込みしちゃうな。
俺のようなのヘタレ君には。
投稿情報: 西新宿のRKO | 2010/06/21 23:30
塾?見つかってよかったですね!
明日から修行頑張ってください!!
加油!加油!!
投稿情報: NEMO | 2010/06/22 00:41
>キドさん
自分も楽しみです。あのアーティストに一抹の不安はありますが・・・
>RKOさん
前進って意外に思い込みなとこが大きいからね。
自分も何か自分で動いている気がしません(笑)
一歩の大きさは人それぞれ。自分のペースで行きましょう。
>NEMOさん
江口とマンツーマンですが・・・
どうせならかわいい女性なら・・・
たぶん授業にならなかったでしょう(笑)
投稿情報: aoy | 2010/06/22 15:07
♪ほんのぉ~小さなぁ~出来事に~
って、大きな前進おめござです(≧▽≦)
続きを早速今から拝見させていただきます☆
投稿情報: to-y♪ | 2010/06/22 22:21
コメントありがとうございます!
>to-yさん
ええ、まだぜんぜんですが見てください。
投稿情報: aoy | 2010/06/24 01:19